独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
患者、早乙女愛花のカルテ

 基礎データ:早乙女愛花、二十八歳。身長、一五三センチ。体重、たぶん四十キロ台前半。血液型、AB。既往症、なし。※母親と祖母が、動脈瘤の破裂を原因とするくも膜下出血で他界(遺伝的要因の疑い)。

 主訴:頻脈・微熱・動悸・息切れ。(俺と一緒にいる時だけ)

 身体所見:すぐ真っ赤になる。かわいい。

 検査所見(いきなりキスした結果):ますます真っ赤になる。かわいい。

 診断:恋の病(初期)。治療の必要、なし。




 ……治療なんて、絶対してやるもんか。もっと俺を意識して、手の施しようがないほど、重症になればいい。

 愛花先生と一緒のベッドで眠れない夜を過ごしたその日、俺は彼女の無防備な寝顔を見ながら、医者のくせにそんな不届きなことを思っていた。


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