独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「お、やっぱ似合うじゃん。センスあるな~俺」
「この色がいいと言ったのは俺だぞ」
「スケスケ感を推したのはわしじゃ」
くだらないことで争う三馬鹿を無視して、私は姿見の前に立つ。
重ね着タイプのひざ丈ワンピースは、外側が、繊細な花柄の刺繍をほどこした、透け感のあるチュール生地。中はミントグリーンのキャミソールワンピースで、春らしく軽やかで女性らしいデザインだ。
自分でも悪くはないと思うけど……問題は小田切先生がどんな反応をするかだ。服もメイクも髪もいつもの私と違いすぎて、引いたりしないだろうか……。
緊張しながらジッと鏡を睨んでいると、インターホンが鳴った。
「小田切さんかな」
颯がつぶやいたのをきっかけに、男衆は三人そろって、私より先にスタスタ居間を出ていった。
やばい、来ちゃった……。
私はどんな顔をしたらいいのかわからないまま、荷物の入ったスーツケースを引いて、のろのろと玄関へ向かう。
「あ、来ましたよ、愛花」
父がそう言うのと同時に、三人は廊下の端に寄って、私のために道をあけた。