背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「な、なんでだよ? 嫌だよ……」


「この見合い、康介のとてもお世話になっている方の娘さんなのよ。あんた、義理の兄の顔に泥を塗る気? どうせ、まともに付き合っている彼女んて居ないんでしょ! いつまでもチャラチャラしんじゃないわよ!」


 姉ちゃんの足が、俺の膝を蹴り上げた。


「痛てえなぁ。俺は別にこのままでいいだよ。人にはそれぞれの生き方ってもんがあるんだ。結婚なんてしたい奴がすりゃいいだろ?」

 俺は、足をさすった。


「ブツブツ言ってないで、いいから、とっととシャワー浴びてこい!」


 今度は、姉ちゃんのハンドバッグが、俺の頭の上で思いっきり跳ねた。


「痛ってえ!」


 このままグズグズしていたら、ボコボコにされちまう。

 俺は、逃げるようにバスルームへ走った。
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