背中合わせからはじめましょう ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
またですか?……美月
駅からの道を、落ち着かない気持ちのまま歩く。
私は、何にこんなに動揺しているのだろうか?
たまたま、見合いの相手に会っただけじゃないか……
見合いの相手? いや、ただの見合いの相手じゃない……
でも、彼だって何も言わずに帰って行ってしまった。だから、やっぱり、ただの見合いの相手って事だ。
もう、頭がぐちゃぐちゃだ!
見慣れた風景の坂道を上がれば、毎日暮らしている家があると疑いもしなかった。
えっ?
違う……
今朝、家を出て来たときの状況ではない事は確かだ。
小さな門のから見える家の周りは、グルリと鉄のパイプが囲っており、ところどころにブルーシートが掛けられている。
玄関のドアは、透明なビニールで覆われている。
ガタガタと音がして、そのドアが開いた。
「美月お帰り、待っていたのよ」
ママが、ビニールを被った玄関のドアから顔を覗かせた。
「何なのよこれ? 何処から入ればいいのよ!」
「ごめんね。家を改修工事する事すっかり忘れてて……」
ママはごめんと両手を合わせた。
「はあ? 普通、そんな大事な事忘れる?」
私は、透明なビニールをくぐって家の中に入った。
「悪いけど、当面の必要な荷物を大至急まとめてくれる? 家の中も少し手を入れる事にしたから」
「はあ? 当面て、どのくらいなのよ?」
「一か月くらいよ。仕方ないじゃない、パパも用意しているから早くしてね」
「早くって、なんで事前に言ってくれないのよ!」
「だから、忘れてたんだってば! しばらく留守になるから、貴重品もね」
「もう!」
私は、バタバタと階段を駆け上がり自分の部屋へと入った。
私は、何にこんなに動揺しているのだろうか?
たまたま、見合いの相手に会っただけじゃないか……
見合いの相手? いや、ただの見合いの相手じゃない……
でも、彼だって何も言わずに帰って行ってしまった。だから、やっぱり、ただの見合いの相手って事だ。
もう、頭がぐちゃぐちゃだ!
見慣れた風景の坂道を上がれば、毎日暮らしている家があると疑いもしなかった。
えっ?
違う……
今朝、家を出て来たときの状況ではない事は確かだ。
小さな門のから見える家の周りは、グルリと鉄のパイプが囲っており、ところどころにブルーシートが掛けられている。
玄関のドアは、透明なビニールで覆われている。
ガタガタと音がして、そのドアが開いた。
「美月お帰り、待っていたのよ」
ママが、ビニールを被った玄関のドアから顔を覗かせた。
「何なのよこれ? 何処から入ればいいのよ!」
「ごめんね。家を改修工事する事すっかり忘れてて……」
ママはごめんと両手を合わせた。
「はあ? 普通、そんな大事な事忘れる?」
私は、透明なビニールをくぐって家の中に入った。
「悪いけど、当面の必要な荷物を大至急まとめてくれる? 家の中も少し手を入れる事にしたから」
「はあ? 当面て、どのくらいなのよ?」
「一か月くらいよ。仕方ないじゃない、パパも用意しているから早くしてね」
「早くって、なんで事前に言ってくれないのよ!」
「だから、忘れてたんだってば! しばらく留守になるから、貴重品もね」
「もう!」
私は、バタバタと階段を駆け上がり自分の部屋へと入った。