背中合わせからはじめましょう ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
すると、彼の母の顔が目の前にぬっと現れた。
「美月さん、そんなに、ここで暮らすのは嫌かしら? たしかに悠麻は、気も利かないし、何考えているんだかわからない変わり者だとは承知しているわ。」
「い、いえ…… そういうわけでは……」
そう言う事ではないが、こういう状況はおかしいでしょ?
近づいて来る彼の母から、一歩後ろに下がる。
その背中をぐっと、また前に押された。
「とんでもございませんわ。悠麻さんはとても素敵な方です。それに比べ美月は、この歳になっても、ふらふらしていて…… もっと早くに花嫁修業をきちんとさせておくべきでしたわ。ねえ、悠麻さん?」
ママの申し訳なさそうな声に、ムっとなる。
「い、いえ…… そんな事は……」
彼の、苦しそうな声に、益々ムッとしてくる。
「そうよね。お互い、そんなに嫌な訳じゃないわよね!」
カラッと明るいままの声が響いた。
「まあ、どちらにしても今夜は遅いし、せっかくだから、夕食一緒にたべましょうよ」
これまた、カラっと明るい、彼の母の声が響いた。
「美月、しっかりお手伝いしないさいよ。ご迷惑おかけしないようにね」
ママはスタスタと玄関に向かって歩き出した。
「お騒がせしてすみません。よろしくお願いします」
パパも深く頭を下げると、ママに続いて歩きだした。
今の状態で、この場を抜けるのは難しい気がする。取り合えず敵を減らす事を考えよう。パパとママが居なくなれば、そうは言っても帰りやすくなるだろう。
私は、諦めた振りをして、パパとママを見送った。
「美月さん、そんなに、ここで暮らすのは嫌かしら? たしかに悠麻は、気も利かないし、何考えているんだかわからない変わり者だとは承知しているわ。」
「い、いえ…… そういうわけでは……」
そう言う事ではないが、こういう状況はおかしいでしょ?
近づいて来る彼の母から、一歩後ろに下がる。
その背中をぐっと、また前に押された。
「とんでもございませんわ。悠麻さんはとても素敵な方です。それに比べ美月は、この歳になっても、ふらふらしていて…… もっと早くに花嫁修業をきちんとさせておくべきでしたわ。ねえ、悠麻さん?」
ママの申し訳なさそうな声に、ムっとなる。
「い、いえ…… そんな事は……」
彼の、苦しそうな声に、益々ムッとしてくる。
「そうよね。お互い、そんなに嫌な訳じゃないわよね!」
カラッと明るいままの声が響いた。
「まあ、どちらにしても今夜は遅いし、せっかくだから、夕食一緒にたべましょうよ」
これまた、カラっと明るい、彼の母の声が響いた。
「美月、しっかりお手伝いしないさいよ。ご迷惑おかけしないようにね」
ママはスタスタと玄関に向かって歩き出した。
「お騒がせしてすみません。よろしくお願いします」
パパも深く頭を下げると、ママに続いて歩きだした。
今の状態で、この場を抜けるのは難しい気がする。取り合えず敵を減らす事を考えよう。パパとママが居なくなれば、そうは言っても帰りやすくなるだろう。
私は、諦めた振りをして、パパとママを見送った。