背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
  ピロリロリロン……

 聞きなれたアラーム音に、スマホに手を伸ばすが、いつもある場所に見当たらない。

 仕方なく、もぞもぞと身体を起こす。


 あれ? ここどこ?


 アラーム音を辿ると、ベッドの横のテーブルの上にある私のバッグからだ。


 だんだんと昨夜の事が蘇ってくる。
 ま、まさか、彼のマンションで寝てしまったんじゃ?

 何てこと!!


 鳴り続けるアラーム音に、バックの中からスマホを取り出した。

 や、やばい! 仕事に遅れる!



 自分の姿を確認する。
 夕べ、そのまま寝てしまったようだ。

 取り合えず、この格好をなんとかしなければならない。


 何故か目の前にあるスーツケースを広げ、慌てて着替えを取り出した。必要な物を抱えると、部屋を飛び出た。


 多分であろうバスルームのドアを開けた。



 えっ?



「うぎゃあーっ」


 手に持っていた物を投げ出し飛び出した。


 猛ダッシュで又、自分が寝ていた部屋に戻ると、バタンと閉めたドアに背中をもたれかけた。


 はあっ はあっ


 息が上がったまま、状況を整理する。


 そ、そうだった。ここは彼のマンションなのだ。


 確かに、バスルームに間違いは無かったが……
 頭にタオルをかけ、カシャカシャと髪を拭く彼が居た。

 パンツも履かずスッポンポンで……
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