背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「あ、あの……」

 その先が続かない……

「ああ……」

 パソコンに向かって居た彼の目が、こちらに向けられた。
 すっと立ち上がった彼は、朝食の並んだテーブルに向かって歩いてきた。


「どうぞ……」

 テーブルの前に立つ彼に向かって言った。


「今の時間で作ったのか?」


「ま、まあ…… 簡単なものだから……」


「旨そうだな」


 少しだけトーンの上がった彼の声に、私の胸が嬉しいと言った。




 朝食が終わるとほぼ同時に、ピピッと電子音が響いた。
 洗濯が終わったようだ。


「あっ、ごめんなさい。勝手に洗濯機借りちゃった」

 先に言おうと思っていたのに忘れていた。


「ああ、別に構わないよ。俺のも入っていたと思うけど」


「一緒に洗っちゃったけど……」


 私は席を立つと、洗濯機のある洗面所へと向かった。
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