背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 嫌でも分かる。
 彼女達が彼とどういう関係なのか……
 そう思うと、胸の奥が、ジリジリと変な音を立て始めた。


 気付くと、彼女達が私に帰れという視線を送っているのが分かった。

 きっと、この店で彼が私をナンパしたか? もしくは私が彼をナンパしたのだと思っているのだろう?

 すると、頼んでないのに、バーテンダーが私の前に綺麗な緑のカクテルを置いた。


 バーテンダーの顔を見ると、小さくウインクした。


 分かったわよ、希望通り帰ってやろうじゃないの!


 私は、グイっと緑色のカクテルを口に含んだ。
 さっぱりとした刺激が喉を通り、身体に力が入った気がした。


「悠麻さん、そろそろマンションに戻りましょうか?」
 
 私は、あえて普通に、精一杯落ち着きのある声で言った。


「ああ、そうだな」

 彼は、残りのウィスキーを飲み干すと立ち上がった。

 私も席を立つと、その腰に彼の手が回った。


「えっ? マンション……」


 ハイヒールの女の呟く、小さな声が聞こえた。

 ピンクのワンピースの女は、少し切なそうな目を彼に向けた。



 私は、彼に腰を引き寄せられたまま店を出た。
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