背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 なんだか複雑な気持ちのまま、お風呂から出ると、テーブルもキッチンも綺麗に片付けられていた。

 はあー。

 また、片付けさせてしまったようだ。


「片付け、ありがとう」


 取り合えず、お礼を言っておく。


「いや。片付けは嫌いじゃない」

彼は、言葉の通り不機嫌な様子も無く、シンクのまわりを拭いている。


 あー、ビールでも飲もう。


 冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ソファーに座る。見たいバラエティー番組があった事を思い出し、テレビのリモコンに手を伸ばした。


 ビールを飲みながら、テレビを見て笑っているうちに、色々考えるのを忘れてしまっていた。

 いつの間にか彼もソファーに座り、ビール片手に笑っていた。


 まあ、いいか……



 そして、気が付づけば、一週間もこんな生活を続けていた。

 私は朝洗濯物を干し、朝食と夕食を作る担当になり、彼は、洗濯物畳みと食事の後片付けが担当になっていた。


 下着を畳まれる事も、いつの間にか慣れてしまっていた。

 慣れというのは恐ろしいと自分でも思う……


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