背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 食事が終われば、すぐに片付けてしまいたいのが俺の性分で。
 だからと言って彼女が食事を作る事は嫌だとは思わなかった。
 正直、彼女の食事は旨い。
 母親の料理は、カレーやシチューは作るが、買ってきた総菜や冷凍ものが多かった。それが当たり前だと思っていたせいか、彼女の食事は本当に暖かい味がした。

 一人暮らしになってからは、料理が面倒臭くて、キッチンなど使った事がない。



 早い時間に食事が済んでしまい、これからの時間をどう過ごしていいかわからなかった。というより、彼女と二人きりの時間に自分がどうなるか自信が無かった。


 俺は、彼女を連れ出す事にした。

 ニットのワンピースに着替えた彼女が目の前現れると、体の中心がきゅうっと熱くなった。


 いつものバーに行けば、俺の失態がばれる事など冷静に考えれば分かる事なのに……
 俺は、何に舞い上がっていたんだろうか?
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