背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
好みでないのです…… 美月
「早くしなさい!」

 ママの甲高い声に、もそもそとベッドから這い出た。

 休日なんて、昼近くまで寝ているのに、まだ、朝の八時だ。


 寝起きのまま、階段をダラダラと降りて行った。


「おはよう…… まだ、八時じゃん」


 何故かいつもより手の込んでいる朝食が並ぶテーブルの前に座った。


「何言っているのよ。もう八時よ。早く朝食済ませてちょうだい」


「今日、なんかあったっけ?」

 私は、味噌汁をすすった。


「美月……」

 ママの声が急に低くなり、私の肩がビクンと跳ねた。

「あっ……」

 やばい。見合いの日だった……


「果物もちゃんと食べて。ビタミンcは、肌をきれいにするの」


「そんな…… 今朝だけ食べたって、急には変わらないわよ……」


 私は、フォークでオレンジをつついた。


「気持ちの問題でしょ! 着付けの準備をしてあるから、早くしなさい! 髪の毛も結い上げなきゃなんだから」


 せわしく立ち去る母の姿に大きくため息をついた。
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