背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
気持ちって何?……美月
 いつものように、朝食を彼と囲む。

 なめこと豆腐の味噌汁をすする。朝の味噌汁は、身体に染みわたるようで好きだ。


「旨い…… なあ?」


 彼は、いつも料理を褒めてくれる。お世辞かもしれないが、悪い気はしない。


「なに?」

「何時のフライトなんだ?」


「えっ?」

 ご飯茶碗を持ったまま彼に視線を向ける。


「だから、グアムだよ」


「ああ。二十一時よ。仕事終わってから行っても十分間に合うから……」


「空港は?」


「成田よ」


「じゃあ、送っていくよ」


「はい?」


 私は、完全に動きを止めた。



「だから、送って行く」


「いいわよ。乗り換えも一回だけだし。スーツケースも小さいほうで十分だし」


「ついでがあるからいいよ」


「ついで?」


 彼を見ると、私の方へは目を向けず、もくもくと食事を続けていた。


 そんな偶然に、ついでがあるのだろうか?


 私は、卵焼きを箸でつかみながら首を傾げた。

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