背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「そうね…… 結婚は智也としか考えられないかな。そのつもりで、同棲始めたしね。やっぱり結婚したら、かわってしまう事もあるかもしれないね」

「そうよね……」

 取り残されていくような寂しさが胸にポツリと落ちる。


「私達、今まで結構自由にやってきたからね。誰かに縛られたり、誰かのために我慢とか出来るのかな?」

 真紀が綺麗な目を海に向けて言った。


「私、結婚なんてしたくないって思っているし、彼氏だって別にいいかなって思っているから…… 私には、出来ないと思う…… 」


 私の視線は、自然に遠くの海へと向いてしまう。


「私もさ、同棲始めて色んな事が分かったのよ。正直、楽しい事ばかりじゃないし、苛立つ事だってしょっちゅうよ。こんな事なら同棲なんて始めなきゃ良かったって思った事もあるしね」


「好きな人との生活でも大変なのね」

 好きな人とでも一緒に生活するのは大変なら、私と彼の生活など上手くいくはずなんてない……


「まあね…… でも、不思議と楽しいんだよね。喧嘩しても、色々面倒だなと思っても、結局気になっちゃって。気が付いたら、また一緒に笑ってるのよ」


「何よ。結局ラブラブなんじゃない」


「ふふっ そうなのかもね。だけど、もし他の人とだったら、こんな風には行かない気がする。なんか、智也とは、無理しないで自然のままでいい気がするの。それでも、お互い理解出来るっていうのかな?」


「ねえ、こんな事を聞くのはおかしいかもしれないけど、真紀は、智也さんと居て不安になったりしないの? この関係がいつまで続くのかとか? 自分の事を嫌な部分を知られたら、相手が離れちゃうんじゃないか?とか。気持ちをぶつけ合う事とか……」


「そうね…… 信じてるとか簡単に言ってしまえばいいのかもしれないけど、なんかね、分かるのよ、智也の事が。怖くないと言ったらウソになるけど、色んな感情ぶつけて向き合って、それでもダメなら、私は後悔しないと思う。表面的におだやかな関係なんて嫌だな」
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