背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 冷静に考えてみれば、当たり前の事では無かった。

 私が、帰るべき場所は、自分の家なのだから……
 

 でも……
 でも……
 でも……

 私は、彼のマンションへ向かう電車に乗った。


 カードキーも、暗証番号もみんな知っている。
 迷わず、彼の部屋へと向かう。
 自分が何をしたいのか? 何を言いたいのか?
 正直分からない。

 でも、あのマンションへ戻りたいという気持ちだけは確かなんだと思う。



 インターホーンも押さずに、ガチャリとノブを回す。


「ただいまー」


 返事はない。
 普段履いている彼の靴は玄関にあるのだが……


 スーツケースを持ち上げ、リビングのドアを開けた。


 うーーーーーん???

 えーーーーーーー


 
「何これーー!!!」


 大声を上げた。
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