背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「抱いていいの?」

 耳元で、彼がいやらしく囁く。

 「うん」なんて言いたくない。
 ぐっとこらえる。


「だめなら…… ずっと、こうして見てる……」


 彼の唇は首筋へと降りてきて、私の身体は言う事を聞かなくなっている。
 彼は、自分のシャツを脱ぎ捨てた。
 彼の肌に、自分の肌が触れると、全てが満たされていくような気がした。


 支えのきかない体を壁に押し付けられた。
 彼の手が、胸の膨らみを確認しだす。
 背中から、胸が突き上げられる感じに、どうにもならない……

「ふっう……」

 声まで、おかしくなってくる。


「そんな顔、俺だけにしてくれよ」


 私はコクリと頷いた。


 彼の手は、身体のあちらこちらをそっと触るだけで、私の身体だけがおかしくなっていくようだ。


「どうする?」

 彼が離れると、私の身体はズルズルと床に崩れていった。
 じっと彼に裸を見られているのに、隠すことすら出来ない。


「綺麗だ…… 好きだから俺は、お前を抱きたい……」


 その言葉に、私の目から何かが落ちた。
 そして、彼の首に手を伸ばした。


「抱いて…… 私も好きだから……」

 本当に、この男はずるいと思う。
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