背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 でも心の奥から、彼に抱かれたいと思った。

 私の涙を指で拭うと、彼の腕が私を抱き上げた。
 そのまま、彼は寝室へと歩きだした。

 そっと、私をベッドの上に下ろす。
 裸のまま、ベッド上に横になっている姿を、また彼に見られている。


「やっとだ……」


 そう言って、彼は私の上に覆いかぶさった。


 不思議だ……
 彼と身体を重ねる事は始めてじゃない……
 でも、こんな幸せを感じるのは始めてだ……
 熱くなっていく体に、彼がいる事を実感する……
 
 私は、あの時から、彼に抱かれる事に満たされていたと思う……

 まるで、こうなる運命だったかのように、一つになっていく……



「愛している……」


 彼の手が、溶けそうな私の頬を撫でた……
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