背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 「どうかしら、このホテルのお庭がとても素敵なのよ。悠麻の家具もお見せ出来るし。二人で散歩でもしてみたら?」


 彼の母がにこやかに、私の方を見た。


 ドラマで見るようなパターンだが、断る事も出来ない。
 でも、この任務を果たせば終わりだろう……


「はい。ぜひ」
 と、言ってみた。

 
「そうですね。行きましょうか?」
 彼が席を立った。


 多分、多分だけど、彼もこれが最終任務だと思っている。
 そんな気がする……



 個室を出て、ホテルの庭へと二人ならんで向かう。

 こうして並んで見ると、彼の背の高さがわかる。私だって、百六十四センチあるのに、軽く見上げるほどだから、百八十五センチはあるだろう。

 まるで、見合い中と背中に書いてあるくらい、誰が見ても見合いと分かるようなシチュエーションだ……


 こういう時、何を話せばいいんだ。

 あまり話題に盛り上がると、後で断りづらいんじゃないだろうか? 

 適当に話し合わせ、お互いなんとなく断る方向にしておけばいいんじゃないだろうか?



 だいたい彼だって、付き合ってる彼女の一人や二人いるだろう? 
 親に無理矢理連れてこられたパターンだと思う……
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