背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 話は彼女の趣味へと変わって行き、やれやれ……

「そうですね…… お魚料理に最近は凝っております」

 彼女が控えめに口にする。


 あー 料理が得意っていう女の魂胆は、たいがい男の部屋へ上がり込む口実だ。
 何度もそんな女を見てきてうんざりしている…… 
 俺は、女に自分の部屋に入られるのが嫌だ。


「おお、素晴らしい。綺麗な上にお料理も得意とは。悠麻の理想にピッタリじゃないじやないか? あはははっ」


 おいおい誰がそんな事言った? 
 胸がでかいだなんだ言ってたのはあんただろ?

 何て答えりゃいいんだ、勘弁してくれよ。
 取り合えず、笑っとけ……


 「どうかしら、このホテルのお庭がとても素敵なのよ。悠麻の家具もお見せ出来るし。二人で散歩でもしてみたら?」


 母が、満面の笑みを彼女に向けた。

 はあー ようやく終わりが見えてきた。

「はい。是非」
 と、彼女が言ったが、是非なんて思ってない気がするが……

 多分、多分だけど、彼女も終わりが見えたと安堵したのではないだろうか?


「そうですね。行きましょうか?」

 俺は、席を立った。
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