背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 もうろうとする意識の中……

「お、おい! 帯が苦しいのか?」

 戻ってき彼が、切羽詰まった表情で言った。

 私は、大きく頷いた。


「自分で脱げるか?」


 私には、そんな余裕はもうない。
 首を横に振った。


「いいか? 帯外すぞ!」


 私は、なんとか首を縦に振った。


 彼の手が、帯締めに掛かったのが分かった。


「なんだこりゃ! どうなってるんだ?」


 変わり結びになってる、帯目に手をかけもぞもぞとやっている。


「は、早く……」


 思わず、そんな声が漏れてしまった。


 彼が、スーツの上着を脱ぎ棄てた。
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