背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「あ、あの……」

「はい」

 彼女は、また私に笑顔を向けてくれた。


「あ…… なんだか退屈かな?」

 私は何を言っているのだろう?
 こんな事を言われて、彼女も困るに違いない。


「い、いえ、ごめんなさい」

 私は慌て、両手を広げ横に振った。


 彼女は、しばらく私の目を見た後、ちらりと寝室の方へ目を向けた。


「お連れ様、お忙しいのですね? お仕事が終われば、きっと、お相手してくださりますよ」


 彼女は、意味ありげにウインクした。


「い、いえ。そういう事じゃないんですけど!」


 声を上げて言ったが、彼女には届いていないようだ。



「何かお飲みものお持ちしましょうか?」


 私は、小さなため息をつくと、彼女に飲み物とつまみをお願いした。
 彼女が、一瞬怪訝な顔をしたのは気のせいかな?


 さあ、本当にどうしよう?


 寝室の入り口から、机に向かう彼の背中が見えた。
 意味もなく、寂しく感じるのはなぜだろう……


 もう、こんな贅沢な部屋でグズグズしてても、もったいないだけだ。

 大きく両手を上にあげ伸びをすると、窓の外に広がる大きなテラスへと向かった。


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