背中合わせからはじめましょう ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
罠か?俺か?……悠麻
広がった着物の上に、彼女は起き上がった……
俺は今、何をしていたのだ!
裸で髪を乱して、意識なく座る姿は色っぽさをはるかに超えている。
またもや、おかしな感情が蘇ってきて、慌てて彼女の身体にバスローブをかけた。
目のやり場がない。
寝室のデスクにパソコンを開き、集中出来る作業を探し出す。
食事をしていても、向いに座る彼女を見ないようにするのに必死だった。バスローブから、時々見える、白い肌が気になってしょうがない。
着替えの下着など持っているわけなどないと思うと、バスローブの中の想像をしてしまい、料理の味など分からなかった。
逃げるように、寝室に飛び込んだが、パソコンの画面は開いただけで何も動いていない。
冷静になろうと、何度も深呼吸をする。
俺は、なんて事をしてしまったんだ。
正気でなかったと自分に言い訳をしても、彼女の胸の膨らみと、しっとりとした肌の感覚が指先に残ったままだ。
本当に綺麗な身体だったと、つい思い返してしまう。
バシッと自分の頬を両手で叩き、椅子に座りなおした。
うん?
さっきから、窓の外に白い影が揺れる。
彼女が、テラスに居るようだが……
えっ?
俺は慌てて寝室の窓を開け、テラスへ飛び出した。