背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 彼の手が、私を掴んでいた手から離れたのに、逃げる事を忘れてしまった。


「私達、今日、お見合いしただけなのよ」


 なんとか、正気に戻らなければと、半分自分に向かって言った。


「ああ…… 今は、余計な事を考えるな」




 彼は、私の頬にふれながら、優しい目を向けた。

 そんないい加減な事と思うのに、彼の熱い目に何かも忘れてしまいそうになる。
 首筋へと降りてきた彼の手は、私の胸にゆっくりと触れてくる。


「あっ……」


 少し触れられただけで、キュンと身体が熱くなる。

 彼の手が、胸をしっかりと包むとゆっくりと動きだす。
 私の身体が、過敏に反応してしまう。

 男の人に触れられるって、こんなにゾクゾクしてくるものだっただろうか?

 彼の唇が胸の膨らみへと降りてくる。

「ひゃあっ」

 なんだか、おかしなことになってしまいそうな予感がする……
 でも彼は優しく、そっと触れる。
 それが、私の心まで優しく溶かしているようだ。


 彼の口の中に、胸の先端を入れられた瞬間に、体中に熱が走った。


「ああ…… やめて……」


 下へと降りてきた彼の手が、太股をなではじめた。


 やばい!
 急に、恐怖が頭の中で渦を巻き始め、足を固く閉じた。


「お願い…… 無理よ……」

「どうして?」


 彼は、そう言っただけで、又、胸へと唇を戻しながら、何も着けていない大事な部分を撫でてくる。


「ああっ…… やめて……」


 掠れる声を、やっとの思いで上げた。


「もう、こんなに感じてるのにか?」


「あ、あの…… 私、こういうの久しぶりなのよ…… 何年もしてないの……」


 もう、恥ずかしさのあまり、涙が出そうになる。

 なんで、こんな事を告白しなきゃならないのよ……
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