背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「えっ」

驚いたような声を出した彼の動きが止まった。


すると、彼が私の顔へと近づいてきた。
私は顔を逸らして、唇を噛んだ。


やっぱり、呆れてしまったのだろうか?



彼の手が、そっと私の頬に触れた。
彼の顔を見ると、今日出会ってから始めて見る、すごく優しい笑みをしていた。
見合いの時見た、胡散臭い笑顔とはまるで別人のようだった。



「大丈夫だ。優しくする。俺に全てを委ねろ……」

 私の額に優しくキスを落とした。


 ヤバいと頭では理解しているのに、体が動いてくれない。


 唇を重ねながら、彼の手はゆっくりと私の大事な部分に触れてきた。



「うっ……」


 声を殺して、両手でシーツを掴む。



 だけど、彼の指は動きを止める事なく深く入ってくる。


「ああ……」


 たまらず声が、漏れてしまった。


「大丈夫だ…… 我慢しなくていい…… 俺に全て集中しろ」


 彼の唇は、私の胸へと降りてきて、胸の先端を刺激し始めた。


「い、いやっぁはあっ……」


 声にならない、声が出てしまう。


 こんな風に、体が反応してしまうものだっただろうか?
 彼の指が動くたび、体中が刺激され、おかしくなっていく。


 気持ちいい……


「美月…… 力を抜け……」

 名前を呼ばれた事に、どうしょうもないほど意識が彼に向いてしまう……


「はあぁ……」


 固く閉じていた目を開けると、そこには苦しそうな彼の顔があった。


「行くぞ……」


彼が私の中に入ってくる。


「痛っ!」


 始めてじゃないのに、こんなに痛いのかと、また、目を瞑った。



 でも、それは一瞬で、私の中が彼でいっぱいになると、全てが吹き飛んでしまった。
 隙間なく、ぴったりとはまってしまったような不思議な感覚だ。


「美月…… お前…… 最高だ……」


 彼の動きが激しくなった。


「ああ、ああーーーっ」


 私は、絶頂というものを始めて経験したのだと思う……
 全ての力が抜け落ちた……


「綺麗だ……」


 彼が、耳元で囁いた。


 私の身体の上に覆いかぶさってきた彼の身体の熱さと、重みを感じた。
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