背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 うーん。

 カーテンの隙間から漏れる光が目に入った。
 身体がだるい……
 一体ここはどこだっけ? 
 高級そうなデスクが目に入り、自分の部屋でない事だけはわかる。


「お前…… 朝から俺を誘ってるのか?」

 えっ? 誰の声……


 声のする方へ顔を向けた。



 ひぇーーっ


 一気に目が覚めて、夕べのあんな事こんな事が蘇ってきた。


 慌てて自分の身体に目を落とすと、かろうじてお腹あたりにシーツがかかっており、片足は、彼のお腹あたりに乗っかり、足が開いたままだ。片手は、彼の首の上にあり、両手を広げ、これを大の字と呼ばずになんと言うのだ。


「ぎやゃあーーーっ」



 慌てて目に入ったバスローブを手にして、ベッドから飛び降りたが、足に力が入らずしりもちをついてしまった。


「お、おい、大丈夫か? 夕べ、激しくやっちまったから無理するな」


 彼も、慌ててベッドから降り、私の腰を支えて立たせてくれた。

 それだけで、私の胸はキューンと変な音を立てた。


「お風呂行って来ます」

「大丈夫か? 一緒に入ろうか?」


 何言ってんのよこの人!

「結構です!」


 彼をキッと睨み、よろよろと、おぼつかない足でバスルームへと向かった。




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