背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
罠か?俺か?その二……悠麻
 頭から熱いシャワーを浴びた……


 マズイ……
 見合い相手だった……

 目を瞑って、もう一度シャワーを頭に浴びるが、彼女の綺麗な体が目に浮かんでくる。
 振り切るように頭を横に振ると、今度は、ソファーで寝ころんで笑っている彼女の姿が浮かんだ。

 俺とした事が……
 自分を止める事が出来ず、彼女を抱きまくってしまった。
 それほどに、彼女は最高だった。今までの女なんて比べものにならないくらい綺麗だった。体にがぴったりはまってしまうような、不思議な感覚すらした。



 バスローブを羽織った。
 彼女も、また、バスローブのままなのかと思うと、よからぬ事を考えてしまいそうだ。
 でも、きっと、先に朝食を済ませているだろう……

 しかし彼女はダイニングテーブルの前に座ったまま、まだ、食事に手をつけていなかった。
 待っていたのか?


 風呂上りの、色っぽい彼女を目の前に食事をするのかと思うと、落ち着かない。
 動揺を見せないよう、息を殺して椅子に座った。


 だけど、もう、体中で彼女を意識しはじめている。

 マズイ……


 何か違う事を考えよう。
 自分の雑炊の鍋に火をつけ、雑炊に集中する。
 彼女を見てはいけない。

 必死で耐えているのに……

「美味しそう……」

 彼女の声に、顔を上げてしまった。


 ゆるくほほ笑んでいる彼女の顔に、俺の顔まで緩んでしまった。
 本当に食べる事が好きなようだ。

 こんな時間の食事になってしまい、勝手に雑炊を選んだのだが、彼女の好みだったのか正直不安だった。


 彼女の笑みに、気に入ってもらえた気がして、嬉しいと思ってしまった。
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