背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 焦ってバタバタもがく私とは正反対に、彼は後ろからそっと抱きしめてきた。


「風呂で暴れると危ないだろ」

「誰のせいだと思っているのよ! 離してよ、出るんだから!」


 抱きしめる彼の手が、力強くなった。


「もう少しいいだろ?」


「いいわけないでしょ! ひゃあっ……」


 髪の毛を上げている首筋に、彼の唇が触れたり、離れたたりしている。


 唇が触れるたび、体中がぞくっとざわつく。

 えっ?

 ちょっと……


 彼の手が、すうっと動きだした。

 まさか、こんなところで?
 恥ずかしすぎると、思った瞬間彼の手が胸の膨らみに触れた。


「ああっ……」

 思わず声が上がってしまい、彼に持ち上げられ体がバスタブの外に出てしまった。


「やっぱり綺麗だ」

 風呂の明かりに照らされた私の身体を見て、彼が言った。


「いやっーーー うっ……」


 私の悲鳴は、彼の唇によって塞がれた。


 こんなところで、こんな事になってしまうなんて……


 頭では否定しても、体が彼の手を覚えているかのように反応してしまう……

 彼がシャワーへと手を伸ばした。
 激しく流れるシャワーの中で、彼と繋がった瞬間、私の記憶はふっとんだ。


 そして……


 彼に抱きあげられ、ベッド上に寝かされている。


 もう、勘弁して欲しい……


 でも、その願いは届かず、逃がしてはくれなかった。


 夕べより、もっと激しく何度も彼に抱かれてしまった。
 自分でも、わからないくらい乱れてしまった気がする……
 彼に、触れられると、私の身体はおかしくなってしまう。
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