背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 プルルルル……

 電話の音に身体を起こした。
 体がだるい……

 隣りの彼を見ると、まだ、寝息が聞こえる。
 あまりに安堵した寝顔に憎たらしくなり、手に取った枕を彼の顔に投げつけた。


「うっ!」


 彼の苦しそうな呻きが聞こえたが、鳴り続ける電話に手を伸ばした。

「はい」

「おはようございます。クリーニングが仕上がっておりますので、これからお届けにまいります。朝食はいかがなさいましょうか?」

「えっ?」

 時計を見ると、八時を回っている。

「朝食もお願いします」

 受話器を置いた


「なんだって?」


彼が、横で額をさすっている。


「クリーニングが出来たそうよ。朝食もね」

「ああ、やっと服が支給されるか」

 彼は、半分呆れてたように笑った。



 シャワーから戻ると、ダイニングテーブルに朝食が並び、リビングのテーブルの上に着物が置かれていた。

 彼は、さっと自分の服を手にすると、バスルームへと向かって行った。
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