背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「ピンポーン・ピンポーン」

 マンションのインターホンの音に、ベッドサイドの時計を確認する。八時、こんな時間に誰だよ。


 プルルルル……

 スマホまで鳴る。仕方なくスマホの画面をスライドした。


「もしもし……」


「もしもしじゃないわよ。起きているならさっさとドア開けなさいよ!」


「なんだよ。姉ちゃんか……」

「いいから、開けなさい」

 スマホは切れた……

 マンションのドアを開けると、飛び込んできた姉は俺を見るなり大きなため息をついた。


「まさかあんた、何も準備していないって事はないわよね」


「なんだよいきなり」


 俺はリビングに入ると、ソファーにドサッと座り頭をかきながら大きく欠伸をした。


「今日の予定分かっているわよね」

「今日?」

 今日なんかあったかな?


 はっきりとした綺麗な顔立ち、モデルなみにスラっとした姉ちゃんが、目の前に立ちはだかった。美人だが、こうやって睨んで前に立たれると、弟の俺にとっちゃ怖いとしか思えない。


「お母さんに言われたはずよ。み・あ・い」


「あっ」

 やべぇ。
 うまく断ろうと思っていたのに、すっかり忘れていた。


「なぁ。俺、忙しくてさあ……  姉ちゃんから断ってくれなか?」


取り合えず、手を合わせてみた。

「残念ね……  今回はどんな事があっても行ってもらうわよ。だいたい当日断るなんて、非常識な事出来る分けがないでしょ」


 ニヤリとほほ笑む姉ちゃんの顔は益々不気味だ……
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