きみは綺麗だった
「ここが2で掛けたら、xが求められるよ。」


『わっほんまや!』


自習をし始めて1時間半が経とうとしていた。

こんなに二人で過ごしたのは多分これが初めて。

字が綺麗で、目を見て話を聞いてくれて、

よく笑う子で……

知れば知るほど、彼女に惹かれているのが自分でも怖いくらいに実感した。



「じゃあ今日はこんくらいにしよっか」

『わからん所は大橋くんのおかげで解決できたよ、ありがとう』


荷物をまとめて、学校を出る。


『…もう夕方かぁ、』

莉子ちゃんは空を見ながら
なぜかちょっと切なそうな瞳をしている。



『ねえ大橋くん、』

「…ん?」


綺麗な夕焼け

他に誰もいない通学路

そして横には、大好きな彼女の姿。




『……康くんって、いつも優しい目してるよね。』


「…っ」



『私、康くんの優しい所、好きなんだ。』



莉子ちゃんは、


幸せそうな表情をしていた。




『大橋くんも康くんの事、好きでしょ?』




好きやで。


好きやけど…


「あいつ、いい奴やもんな。」




.
,
.


なんでそんなに康太の事ばっかり話すんよ……










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