約束 ~幼馴染みの甘い執愛~

「すごい量」

 資料室に入って中の様子を確認した雪哉が、驚いたような声を洩らす。

 図書館のように等間隔で配置された高い棚には、会社の製品に関わる資料の他、営業やプレゼンテーションで使用した書類、会議の議事録、自社製品の歴代パッケージや競合する他社製品の情報などが所狭しと並べられている。

 一応会社の会計に関わる書類は極秘扱いで別所に置かれているが、それ以外の会社の歴史は全てここに詰まっていると言っても過言ではない。このエリアに社員以外の人を入れてもいいなんて、よく許可してくれたなぁと思う。

「最近、紙からデータに移行し始めたの。4年前まで全部紙だったから」
「愛梨が入社した頃?」
「それより少し後かな。副社長が今の人に代わるまで、昔の流れが変えられなかったんだって」

 そんな話をしながら、まずは雪哉が手にしていたリングファイルを元に戻すために棚番号を確認する。棚の空いていたスペースを見つけ出すと、雪哉から重たいファイルを受け取ろうと手を伸ばす。

「数字の順番でいい?」
「え……あ、うん。ありがとう…」

 だが愛梨より早く、雪哉が自分でファイルを収めていってしまう。完全に課の雑用を手伝わせてしまって申し訳ない気持ちだ。雪哉も忙しいだろうし、急がなくては。
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