約束 ~幼馴染みの甘い執愛~

知らない感情


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 日頃の疲れを解放するように、目覚まし時計もかけずに気が済むまで眠り続けた。ほぼ同時に目を覚ました弘翔に顔を覗き込まれて、体調を確認される。

「身体辛い?」
「ううん。ちょっとお腹痛いだけ」

 痛いのはお腹よりもう少し下だが、男性には存在しない器官なのでお腹が痛いという事で説明を省かせてもらう。

 少し心配そうな顔をした弘翔に笑顔を作ると、2人でだらだらと動き出した。適当にブランチを済ませて顔を洗うとすぐに手持ち無沙汰になったので

「ゲームしよ、ゲーム」

 と弘翔を誘った。

「愛梨、結構ゲーム好きだよな」
「うん。RPGはやらないけど、パズル系とアクション系は昔から結構好き。あと音楽系」

 ゲーマーという程ではないが、弘翔の家にはテレビやネットで話題になっているテレビゲームが一通り揃っている。実家から持ってきたものもあるようで、中には懐かしいソフトも紛れていた。

 愛梨がその中からレースゲームを選ぶと、準備のためにケーブルを解いていた弘翔に、首を傾げながら問いかけられる。

「河上さんとしてたの?」

 起きてから今この瞬間まですっかり忘れていた人物の名前を出され、思わず黙る。

 脳裏に浮かんだ昨日のキスを思い出さないように懸命に精神統一を図りながら顔を上げると、何故か弘翔の視線が泳いでいた。愛梨はふと、その視線の意味に気付く。

「……いじわる……?」
「や、違う。ごめんごめん」

 どうやら探りを入れられていたらしい。気になっていることを素直に気になっていると言えないところも、弘翔の可愛いところだ。子供っぽいやり口で愛梨の過去を確かめようとした弘翔に、思わずくすくすと笑ってしまう。
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