約束 ~幼馴染みの甘い執愛~

 言ってしまってから、慌ててハッと我に返る。急いで口元を押さえてそろりと顔を上げると、雪哉が意地悪を思い付いた時の顔をしていた。でもその表情は、いつもより少し嬉しそうで。

「愛梨は俺とキスするの好き?」
「え、いや……っ」
「でもこれから、キスよりもっと気持ちいいこと教えるから―――ほら、おいで」

 あんなに怖くて嫌だったはずなのに、雪哉に囁かれると少しの無理なら頑張れそう、と思ってしまう。ためらいの気持ちを押し込んで、ドキドキしながら出された手の上に指を乗せると、その指先をくいっと引っ張られる。

 雪哉の指先が愛梨の手のひらの中心をスルスルと撫でると、気恥ずかしさとくすぐったさからまたピクリと身体が跳ねた。

 さらに手を引いてベッドの上まで愛梨を誘導した雪哉は、愛梨の肩を抱き寄せてそのまま唇を重ねてきた。優しいキスの雨をなすがまま受けていると、指先で顎を持ち上げられ、今度は更に深く口付けられた。

 右肩を抱いていた手がそっと離れ、首の後ろや鎖骨の上をゆっくりと滑っていく。そして胸のラインを撫でるように触れてきた雪哉が、急に唇を離して驚いたような顔をした。

「愛梨?……下着どうしたの?」

 びっくりしたように問い掛けられ、愛梨の方が驚いてしまう。雪哉に言われるまで忘れていたが、今の愛梨はお風呂あがりのかなりリラックスした格好だった。就寝時間にはまだ早いが、再び身体を締め付ける下着を身に着ける訳もなく、ルームウェアの下は当然、裸だった。
< 200 / 222 >

この作品をシェア

pagetop