約束 ~幼馴染みの甘い執愛~
番外編② 台風とハリケーンの答え合わせ
最初はこの『両家の顔合わせ』って本当に必要なのかな? と思った。顔合わせも何も、上田家の面々と河上家の面々は元々知り合いなんだから。
でも実際に顔を合わせるのはかなり久しぶりだと思う。父さんも母さんも日本に来たいって言ってるから丁度いいんじゃない? と言う雪哉と話し合って、簡単な食事の席を設けることにした。
「和花奈~!久しぶりねぇ!」
「いやぁん、愛子ちゃぁん! 久しぶり~!」
案の定、予約した店の個室の入り口で、再会した愛梨の母・愛子と雪哉の母・和花奈が手を取り合ってやや興奮気味に喜ぶ。こんなに喜んで貰えるならやっぱりちゃんとセッティングしてよかったね。なんて雪哉と視線を合わせて頷き合うも束の間。
「2年ぶりかしらー?」
「そうね~! この前のクラス会以来だから、もう2年になるわねっ!」
キャッキャと笑い合う母達の言葉に、一瞬、出遅れる。
「???」
「母さん? おばさん??」
「え……ちょっと待って。お母さんたち、そんな最近会ってるの?」
聞き間違いじゃなければ、ふたりは今『2年ぶり』と言った。
2年? 15年……いや、もう16年近くなるはずなのに、いくらなんでも計算間違えすぎじゃないだろうか?
目が点になった娘と息子の顔を見比べて、今日も元気な母2人がにこにこと同じ表情をする。
「5年に1回、春に高校の時のクラス会があって。その度に日本に戻ってきてるのよ」
しれっと言い放った母の言葉に、普段愛梨を振り回してばかりの雪哉でさえ『ん?』を3回、『は?』を2回交互に繰り返した。愛梨に至っては声すら出せそうにない。
「いや、待って母さん。2年前の春に日本に来たっけ?」
「来たわよ。雪にはお父さんの画材の買い足しだって言ったかしら。もちろんクラス会にも参加したけど」
「聞いてない……。……え、5年に1回って、その前は……?」
「雪、友達と旅行に行くって言ってたじゃない。なんだっけ、マイケル君? がガールフレンドにフラれた傷心旅行だとか言って」
誰なの、マイケル君。
たぶん雪哉の友達なのだろう。