約束 ~幼馴染みの甘い執愛~
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母が二つ返事で了承したせいで、雪哉を連れて実家を訪ねることが決定してしまった。
乗り継ぎの時に寄った大きな駅の構内を探索して、最近話題になっている洋菓子を手土産に購入する。それから電車に揺られること、およそ30分。
道中、話したいことや聞きたいことは沢山あったが、笑顔の雪哉に『晴れてよかったね』とか『朝は何食べたの?』とかどうでもいい質問をされて、それに答えているうちにあっという間に実家に到着してしまった。
「こんにちは。お久しぶりです」
「あらぁ! 雪哉くん、すっかり男前になっちゃって…!」
玄関先で雪哉に笑顔を向けられ、母が感動したように再会を喜んだ。テレビ番組で取り上げられた最旬スイーツを雪哉の手から受け取ると、母のテンションは更に急上昇する。
「上がって上がって、散らかってるけど~。お昼食べてないのよね?」
大したものじゃないけど用意してあるから、と言いながら母が小躍り気味にリビングに消えて行く。
「ごめん…お母さんうるさくて…」
「ううん。変わってなくて安心した」
2か月ぶりに顔を見せ、しかも来客を伴い、さらにその連絡を数時間前にしたのなら、普通は怒られてもおかしくないと思う。けれど雪哉の成長を目の当たりにした母は、怖いぐらいにご機嫌だ。
妙に浮かれる母と遺伝子が半分同じなのかと思うと途端に恥ずかしさを覚えたが、雪哉はクスクスと笑うだけだった。
「おお、雪哉くん、久しぶりだな」
「ご無沙汰しています。おじさんもお元気そうで何よりです」