サッカーボールと先輩とアタシ
先輩の腕は背中をギュッと抱き締める。
痛い程に。
そのまま動く事ができない。
両腕は力が抜けたようにただ、そのまま。
そして、二人の身体がゆっくりと離れる。
旬磨先輩――??
その顔を覗き込もうとした――。
先輩の顔が段々と近付き…………唇が重なった。
「!!」
キス、されてる。
アタシの肩に置いた手から、暖かさが伝わる。
「ごめん…。」
短いキス。
アタシの唇から離れた唇がそう言う。
そしてまた、その胸の中。
「俺の事、好きじゃなくていいから。
嫌いにならないでくれ。」
「………。」