サッカーボールと先輩とアタシ
試練
上履きは行方不明のままだった。
アタシの期待とは裏腹に、靴箱にはスリッパが入ったまま。
最近は香苗ちゃんが気に掛けて、一緒に登校してくれる。
「ねぇ、先輩が呼んでるよ。」
隣のクラスの女子が、アタシにそう言う。
「屋上だって。」
「…ありがとう。」
先輩って誰かな??
サッカー部の先輩かな。
昼休み、屋上へと階段を上る。
重い扉を開くと風が吹き込んで、髪がバサバサとなった。
「あ、来たよ!!」
――知らない女の人達だった。
二年生??三年生??
鼓動が早くなる。
なん…だろう??
アタシに気付いたその人達は、足早にこっちへ近付いて来た。