サッカーボールと先輩とアタシ
でも…どうしてここに先輩達が??
ヒロ先輩の手を振りほどき、両手で顔を覆った。
「万桜ちゃん…。」
アタシの名前を呼ぶ、聞き覚えのある声。
「……亜子…ちゃん??」
顔を上げると、先輩達の向こうに亜子ちゃんがいた。
「彼女が知らせに来てくれたんだ。」
えっ…。
「ごめんね!!」
立ち上がったアタシに亜子ちゃんが抱き付いてくる。
「私、知ってたの、万桜ちゃんが先輩達に色々言われてたの。
スリッパだったのも。屋上に呼び出された、って聞いて。私も同じ事してる、と思って。」
泣いていた。
「万桜ちゃん悪くないのに…勝手に私が……。
だから走って先輩達、呼びに行ったの。ごめんね、ごめんね…。」
「……亜子ちゃん。ありがとう…。」
アタシも泣いていた。
ずっとずっとガマンしていた涙。
潤くんと離れてから、泣かないように、感情を出さないように。
「アタシの方こそごめんね…。」
声を出して泣いた。
今までのいろんな思いが一気に溢れ出してしまった。
先輩達の姿は、いつの間にか消えていた。
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