サッカーボールと先輩とアタシ
「あ~、明日休みだ!!」
明日の日曜、コーチは練習を休みにしてくれた。
「日曜に試合も練習も休みって嬉しいよな!!」
ヒロ先輩はご機嫌だ。
帰り道、ジャージのままアタシ達はファミレスにいた。
ジュースで乾杯。
家族連れが多くて、アタシ達三人は見るからに浮いていた。
そんな事、先輩達ももちろんアタシも気にしない。
今日の勝利でハイテンションだった。
「明日、映画行行かない??」
口をモゴモゴさせながらそう言ったのは旬磨先輩だった。
「映画かー、って俺、ヤローと映画見る趣味ないから!!」
ホントこの二人、面白い。
「ってアタシ!?ですか??」
二人の視線はアタシに向いていた。
「…どうかな??」
旬磨先輩の顔、可愛い。
「行こうよ、デート!!」
ヒロ先輩が身を乗り出す。
「お前は誘ってないって、俺はマネジャーを誘ってるの。」
笑いながら旬磨先輩は言う。
でも、それは嘘。
ここで言うって事は、ヒロ先輩も誘っているんだよね。
「…じゃ行こうかな。」
考えずに即答する。
「決まり!!」
「あの、亜子も誘ってもいいですか??」
「あ、いいよ!!四人の方が偶数でいいし。ダブルデートか~。」
ヒロ先輩にまた旬磨先輩が突っ込む。
「だから、お前誘ってないって。」
アタシは笑いをガマン出来なかった。