サッカーボールと先輩とアタシ
亜子と男子寮の前のバス停に向う。
彼女の表情から、緊張が伝わってきた。
「亜子、可愛い!!」
なんとかリラックスさせてあげたいな。
「ホント!?ありがとう!!」
花柄のワンピースにブーツ、濃いグリーンのコートがお似合いだよ。
ピンクのグロスも、亜子のイメージを壊さない。
「万桜も、ね。」
ありがとう、と言ったがアタシはパーカーにジーンズ、とりあえずブーツは履いてみた。
「なんだか緊張するね。」
亜子はしきりに、前髪を気にする。
ファミレスですぐに亜子にメールを入れた。
『明日、旬磨先輩達と映画行こう』
答えはもちろんOK!!
興奮のあまり、寝不足らしい。
バス停の前では、先輩達が待っていた。
「おはよ~!!
可愛いね、二人とも!!」
ヒロ先輩の何気ない心配りが嬉しい。
「…っす。」
旬磨先輩はジーンズのポケットに手を入れ、アタシをチラッと見た。
「もうバス来るよ。」
亜子は愛しいそうに、旬磨先輩に視線を向けていた。