サッカーボールと先輩とアタシ
バスに一時間揺られ、着いた先は大きな建物だった。
大きい。
人も…多い。
さすがに大都市。
ショッピングモール、ゲームセンター、ボーリング、レストラン街…とこの場所でほとんどが済むらしい。
そのまま映画館へ向った。
「で、何見る??」
言い出したのはヒロ先輩。
「あれ。」
旬磨先輩が指差した先は、
「えー!!」
アクションもの!!
「アタシこっち!!」
人気アイドルの恋愛映画を指差す亜子。
「あ~。」
思い切り、嫌な顔をする旬磨先輩。
結局、多数決で恋愛映画に決定した。
真ん中当たりの席を取り、飲み物を買って座る。
旬磨先輩、亜子、アタシ、ヒロ先輩と並ぶ。
アタシはちょっと気を遣っていた。
亜子、先輩と仲良くなれるといいな。
「何買ったの??」
ヒロ先輩は飲み物を指差す。
「コーヒーです。」
「好きだな、コーヒー。いつも飲んでるよね。」
アタシは笑う。
「なぁ、ちゃんづけ面倒だから万桜、って呼んでいいかな??」
ヒロ先輩は鼻を触りながら照れくさそうに言う。
「あ、はい。」
なんだかちょっと恥かしい感じ。
万桜、って呼ぶの男の人は…潤くんだけ。
昨日の試合はどうだったかな。
メールもなかった。
インターネットで知る事も出来たが、勇気が出なかった。
もし、負けていたら…。
考えるのは、やめよう。
今は、亜子と先輩達といる。
久し振りの映画を楽しもう。