サッカーボールと先輩とアタシ
デート―旬磨―
どれだけ好きになったら想いは届くのだろう。
どれだけ思っても、…届かない想いが空しい。
彼女は目の前にいるのに。
前の席で、友達と笑ってる。
いつでも手を伸ばしたら届く距離に。
昨日思い切って映画に誘ってみた。
映画じゃなくても良かったんだ。
一緒にいられるなら。
ヒロの前で誘ったのは、ふたりっきりじゃない方がいいと思ったから。
多分、ふたりだけだったら断られると思うし。
「あの子、なんて名前?」
前の座席に座る、万桜ちゃんの友達。
この前万桜ちゃんが、二年の女子に呼び出された時に俺達に知らせに来てくれた子だ。
余り詳しくは聞かなかったが、喧嘩してたが仲直りしたようだ。
ヒロに聞いてみる。
「アコチャン、じゃなかった?!」
「アコチャンね…。」
俺はウンウンと頷く。
「前に、告られてなかった??あの子に??」
「はぁ?!」
そうだったかな??
思い出そうとした、が思い出せない。
「…んと、お前女に興味なさすぎ!!クラスの女子以外、名前さえ知らないだろ。」
確かに……。
反論できない自分がいた。
「お前と一緒にするな!!学校中の女の名前なんか知るか。」