サッカーボールと先輩とアタシ
……かなり大きな観覧車だった。
支柱のイルミネーションが赤や青に光り、綺麗だった。
「四人で乗る??」
入口には、カップルばかり7~8人順番待ちしていた。
「な、あれ。」
ヒロ先輩が見つめる先には『カップルで乗られる方は500円引き』の看板があった。
「二人ずつ乗ろう!!」
ヒロ先輩は旬磨先輩に言う。
「あ~いいけど、俺ヤローと乗る趣味ないから。」
「分かってるって!!じゃ、ジャンケンで一発勝負な!!」
先輩達は盛り上がり、亜子はワクワクしながらその様子を見つめている。
「あの~……。」
アタシだけ、置いてけぼり。
「ほら、万桜達もジャンケン!!」
「………。」
後ろには次々と人が並ぶ。
「亜子、旬磨先輩と乗ってよ!!」
耳元で囁いた。
「えっ!?」
亜子は満面の笑みを浮かべた。
「俺、勝ち!!どっちが勝った??」
ヒロ先輩はグーを握りながら、アタシ達を見る。
旬磨先輩は、といえばチョキの手を見つめていた。
「アタシ、勝ちです!!」
思わず口から出てしまった。
「じゃ俺、万桜とね。」
アタシとヒロ先輩は隣同士に並び、亜子は旬磨先輩の隣にそっと並んだ。
うつむき、頬が少し赤くなっている。
「じゃ、お先。」
ヒロ先輩は、アタシを先に観覧車へ乗せ、後から乗り込む。
カシャ
外から係員のお兄さんか、カギをかけた。