サッカーボールと先輩とアタシ
観覧車―ヒロ―
…マジで怖いらしい。
万桜、これに乗ってから固まってるし。
下を向いたまま、顔を上げようともしない。
俺の胸の中で静かに呼吸だけが聞こえる。
流れている音楽も、彼女の耳には届いていないだろう。
「早く言えば良かったのに。」
「…だって、そんな雰囲気じゃなくて…。」
「あ~アコチャンね。あの子、旬磨の事好きなんだろ??」
ちょっと頭を上げた。
「分りますか??」
でも万桜は、俺を見ようとしない。
「まあね、万桜めちゃ気イ使ってるからね。」
「二人っきりで緊張してないかな??」
「…そんなに旬磨の事気になる??」
わざと意地悪く聞く。
「…そうじゃないですけど。」
やっと顔を上げた。