サッカーボールと先輩とアタシ
「旬磨クン、まだまだご指名の子待ってるよ~!!」
急に横から近付いてきたその人は、アタシと向かい合って座るその人の肩をポンポンと叩いた。
新しい登場人物を見上げたら…背が高い。
190センチはありそうな長身に、小さな顔。
大きな瞳に彫りの深い顔。
この人とは対照的に真っ白なスーツに紫色のシャツ。
ホントにホントに本物のホストみたいな雰囲気に驚いた。
その彼はアタシを見て、
「ごゆっくりどうぞ。」
と、素敵な微笑を投げ掛け、去って行った。
「アイツ、俺と同じクラスの宏慶(ひろみち)。」
「そ、なんですか…。」
いやっ、そんな紹介して頂かなくても…。
アタシの頭の中は、飲み尽くしてしまったアイスティーのように、ここから早く消えてしまいたい思いで、いっぱいです。