サッカーボールと先輩とアタシ
「終わったよ。今戻って来たのか??また迷ってたとか…??」
心配していた。
「すごい荷物だね~。」
ヒロは両手の荷物をマジマジと見ている。
「迷ってないです!!
近くにドラックストアもあって、救急箱の中も補充しなきゃと思って…。コーチに聞いたら、ついでに買ってきていいよ、と言われて。」
白いビニール袋を開き、中を見せる。
コールドスプレーやテーピングなんかが入っていた。
んとに、この子はいつもどこでもサッカーの事ばかり考えているのか??
「初めて入ったから、売り場が分からなくて、お店の中、何周もしちゃいました。」
そしてヘヘヘ、と笑う。
俺は彼女から、その袋を取る。
「俺が持って行くよ。重いだろ。」
一瞬困った顔をした。
「キャプテンの指示だから、いいよ。」
ヒロがフォローする。
じゃないと『キャプテンにそんな事…』と言うに決まってる。
「すみません、じゃあお願いします。」
深く頭を下げる。
「帰ろうか。」
ヒロはクルッと体の向きを変えた。
「あっ、そうだ!!これ……。」
バックから何かを探し、それを俺達の前に差し出した。
手のひら程の小さな紙袋。
「昨日のお礼というか…。先輩達のイメージにピッタリだったんで…。」