サッカーボールと先輩とアタシ


「終わったよ。今戻って来たのか??また迷ってたとか…??」

心配していた。

「すごい荷物だね~。」

ヒロは両手の荷物をマジマジと見ている。

「迷ってないです!!
近くにドラックストアもあって、救急箱の中も補充しなきゃと思って…。コーチに聞いたら、ついでに買ってきていいよ、と言われて。」

白いビニール袋を開き、中を見せる。

コールドスプレーやテーピングなんかが入っていた。

んとに、この子はいつもどこでもサッカーの事ばかり考えているのか??

「初めて入ったから、売り場が分からなくて、お店の中、何周もしちゃいました。」

そしてヘヘヘ、と笑う。

俺は彼女から、その袋を取る。

「俺が持って行くよ。重いだろ。」

一瞬困った顔をした。

「キャプテンの指示だから、いいよ。」

ヒロがフォローする。

じゃないと『キャプテンにそんな事…』と言うに決まってる。

「すみません、じゃあお願いします。」

深く頭を下げる。

「帰ろうか。」

ヒロはクルッと体の向きを変えた。

「あっ、そうだ!!これ……。」

バックから何かを探し、それを俺達の前に差し出した。

手のひら程の小さな紙袋。

「昨日のお礼というか…。先輩達のイメージにピッタリだったんで…。」

< 137 / 239 >

この作品をシェア

pagetop