サッカーボールと先輩とアタシ
練習後の部室はクッキーの話題で持ち切りだった。
学校は一日中甘い香りが広がっていた。
「ヒロ、いくつもらった??」
横から声が飛んでくる。
「あ、俺??」
「コイツ、ひとつも受け取らないんだぜ。」
誰かが俺の代りに答える。
「マジで?!」
「ウソ!もったいね~。」
「旬磨も、相変わらずだし~!!」
旬磨は、といえば黙々と着替えをしている。
「じゃあ、お疲れ~。」
着替え終わったメンバーは次々と部室を出る。
「………。」
何だか、外が騒がしい。
いつも俺達が部室を出る頃にマネージャーと後片付けを済ませてから、入れ違いに来る一年生の姿がまだ、ない。
「何だろうな??」
俺は旬磨と部室を出た。