サッカーボールと先輩とアタシ
クッキーの行方
いつものように、先輩達が待っていてくれる。
「帰ろうか。」
優しく言う旬磨先輩。
「はい。」
「さっきはありがとうな、みんなにまで。大変だったろ。」
ヒロ先輩がアタシを見る目は暖かい。
「いえ、本当はサッカーボールの形にしようと考えたんですけど…時間がなくて。
それと技術も…。」
正直に話す事にした。
「実は、時間内に終わらなくて。ははは。」
「マジで??」
旬磨先輩も笑う。
結局、70枚ほどクッキーを焼いてしまった。
ラッピングも、ただ袋に詰め口を閉じただけになってしまった。
それなのに、あんなにみんな喜んでくれて、嬉しかった。
旬磨先輩もヒロ先輩も、受け取っらない、と聞いていたのでほとんど強引に渡すかたちにした。
迷惑じゃ、なかったかな…。