サッカーボールと先輩とアタシ


「う…そ…。」

思わず言葉が出る。

離れてから、初めてのメール。

もう潤くんからメールも電話も、くる事はないと思っていた。

携帯を見つめたまま、頭の中で色んな思いが交差した。

手が震えていた。

震える指でボタンを押した。

『件名 万桜へ』

『本文 元気ですか??俺は相変わらず毎日ボールを追いかけているよ。』

涙で文字がかすむ。

『万桜がいない毎日にまだ慣れていないけど、頑張ってるよ。』

潤くん…。

『俺達、県大会優勝したんだ。俺が伝えたくて、みんなには連絡しないように言ってあって、ごめんな。万桜も転校先でまたマネージャーになったんだろ。話は聞いてるよ。』

もう、溢れる涙を止められない。

『そっちも次、決勝なんだろ。国立で会えるといいな。俺は連れて行ってあげれなかったけど、新しいチームで行けたら、万桜の夢、叶うよな。』

違う、アタシは潤くんと…。

『そっちは寒いだろ。風邪引くなよ。』

「ヒッ…クッ…潤…くん…。」

アタシは…泣き続けた。


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