サッカーボールと先輩とアタシ
バランスを崩しそうになりながら、振り向くと…。
さっきの人だった。
「これ、…一応。」
差し出された名刺。
学校名・クラス・名前に顔写真。
学園祭の出し物とはいえ、本格的…。
「また、来いよ…。」
「あ、旬磨だ!!」
廊下にいた女の子達が、出て来た彼を見て騒ぎ出す。
「ずるーい、私の時、お見送りも名刺もなかったのに~!!」
見ていたのか、一人の女の子は聞こえるように、大きな声で言う。
「誰、あの子??
…あ~転入生。」
「………。」
そんなに人気者なのかな、この人??
女の子達の会話を聞こえないフリをして、アタシは渡された名刺を見る。
「ありがとうございます。さよなら。」
彼の手を振りほどき、歩き出す。
「あのさ。
向かい、行かない??」