サッカーボールと先輩とアタシ


そこには、喜びの輪が自然に出来ていた。

同じ喜びと、そして辛さを共にしてきた仲間達が自然に。





たくさんの父母も学園の生徒も応援に来ていて、みんな共に勝利を分かち合っていた。

アタシはその様子を少し離れた場所から見ている。

旬磨先輩もヒロ先輩も、お母さんらしき人と笑いながら話している。

「マネージャー!!」

こっちこっち、とヒロ先輩が手招きした。

「??」

「マネージャーの坂下万桜ちゃん。」

って、いきなりアタシを紹介するし。

「初めまして、宏慶の母親です。いつもお世話になってます!!あなたが噂のマネージャーさんね。」

笑った顔が、ヒロ先輩によく似ていた。

フンワリとした髪型の、優しそうなお母さん。

「初めまして、阪下です。」

頭を下げた。

で…噂ってなんだろう。

「本当に可愛いわね。」

先輩のお母さんはアタシを見てニコリと笑った。

「もういいだろ、ちゃんと紹介したぞ。」

ヒロ先輩の顔が少し赤く見えた。

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